市民・消防・文化観光常任委員会、視察第3日目午前は福岡市消防局を視察しました。
福岡市においても、横浜市と同様、救急出動件数が年々増加しています。10年前比で約30%増の要請に対応すべく、救急隊を6隊増隊し、現在32隊の体制となっています。とは言え、国の整備指針34隊をすぐに満たすことは困難であり、増隊によらない救急需要対策にも積極的に取り組んでいます。
今年4月、九州で初めて『機動救急隊』を創設し、増加する救急需要への迅速な対応に成果を出しています。『機動救急隊』は10人の隊員で構成され、3人1組となり、予め準備した救急車での出動に備えています。これまでの救急需要データを分析し、予測結果に基づいた、救急事案多発エリアに移動待機するほか、救急タブレットICT(ATAS)を活用し、空白エリアをタイムリーに把握しています。
4月からの約半年間、『機動救急隊』の活躍は目覚ましく、トップレベルの出動件数を誇っています。また福岡市消防の隊員にとって、キャリアアップやロールモデルとなるような機運醸成の効果も見られています。「出動、実証、訓練、資質」の4要素を活かし、今後増加する救急要請にも応えて行くものと考えられます。
また、2017年11月から運用を開始した『福岡都市圏消防共同指令センター』の果たす役割にも注目すべき点があります。『福岡都市圏消防共同指令センター』は、福岡市都市圏の5消防本部にある119番指令センターを一本化し、福岡市都市圏内の119番通報を全て受付けています。そのことにより、大規模災害時における迅速な対応、119番受信処理能力の向上、人員の効率化に繋がっています。今後さらに共同運用に参加する情報本部も複数あり、各市町消防本部の特性も捉えながら、役割を果たして行くことが期待されています。
さらに福岡市消防局では、市民の特性を捉えた、迅速かつ的確な救急対応を行うために、デジタル活用も推進しています。『NET119』では、聴覚や言語に障がいのある方が、スマホやタブレットを使って簡単に通報できる環境が整ってきます。『ライブ119映像通報システム』では、SMSを使い、通報者が現場の状況を写真撮影し送信したり、指令センターから心臓マッサージなどの手技を動画で送信するなど、より的確で迅速な人命救助に繋がる取り組みを行っています。
福岡市消防局では、他にも福岡市公式LINEアカウントを使い、救急出動情報をリアルタイムに受け取れるシステムを構築するなど、消防局と市民の双方に資する取り組みを行うなど、横浜市消防局にとっても、参考となる点が多くありました。横浜市消防局が市民の皆様にとって、より安全安心な体制となるよう、今回の視察の学びを活かして行きたいと思います。